勝ち残り企業は打つ手が早い

ポスト2020、多くの企業が先が見えないでいる。このような時代においては、手を打つことなく景気回復を祈る「閉じこもり企業」と先行きを早々と判断して手を打つ「先手先行企業」との違いがあからさまに出る。あるメーカーは、毎年安定した業績を確保しているにもかかわらず、今後、市況が1~2割ほど低下することを見越して主力以外の製品やメンテナンス事業などの受注拡大に向けて、いち早く組織営業の仕組みと体制を築き上げた。一方、ある食品卸では、相変わらずの地域に相変わらずの人数で攻め続け、年々市場が縮小する中、生産性(一人当たり売上)を落とし続けている。商品に差別化要素がないのであれば、決め手はスピードだ。どこよりも早く市況や商品の情報をつかみ、得意先に提供・提案し、いち早く納めることが今やるべきこと。仕入先開拓を強化しよう、そういって早くも1年が経つ。やることなすことが遅い、全て後手に回っている。スピードは投資のかからない最大の差別化要素である。すべてのスピードを倍にする努力をしよう!不況と嘆く前に、まだまだやるべきことはたくさんある

真なるリーダーに求められる論理性と表現力

論理性とは、“自分はこう思う”という判断に対し、“なぜならば”という論拠が明快であり、そのような話には説得力がある。また、この論理性を磨くにあたっては、これら論拠の他、「いかなる意図かという目的意識、なぜそうなっているのかという問題意識、どうすれば打開できるかという改善意識」をもって物事を考察すること、数値で実態を掴むことなどが重要である。数値を伴わなければ曖昧な回答になってしまい、客観性を見失い、あなたの勝手な思いとなってしまうだろう。残念ながら、相変わらず日本の政治・経済界は混沌とした状況を続けている。一刻でも早い”真なるリーダー”の出現を望みたい。今回は、これからのリーダーに欠かせない能力について話をしてみたい。さしあたり特に2点あげるとすると、私は論理性と表現力を選ぶだろう。一方、表現力とは、いかに分かりやすく、インパクトをもって相手に訴えることが出来るかである。結論から話す、言いたいことは3点あると言ってから話す、図やグラフを多用する、強弱をつける、間を空けるなどである。論理性は相手の理性に、そして表現力は感性に訴える。政治、経済界に関わらず、企業リーダーたる経営者においても心しておきたいテーマである。

やはり、企業は人なり

 今更ながらこの言葉の重みを感じる。企業の三要素は、ヒト・モノ・カネ。確かに資金(カネ)も商品・事業(モノ)も必要だが、それらを創っていく人がいなければ何にもならない。売上高30億までは、社長1人の力で何とかできる。しかしながらその域を超えてくると、事業部、そして子会社の存在が必要になってくる。そうなれば1人の社長では明らかに無理である。私は、多くの企業で人を育ててこなかったことを悔やむ経営者を見てきた。企業が成長しているときには、事業にばかりに目が行き、意外と気がつかないものである。例え重要と気づいていても緊急な課題とまでは認識していなかったケースが多い。そしてそれは今、最も重要かつ緊急的な課題となった。ぜひとも今一度、中期や年度における人材育成計画を見直していただきたい。場当たり的な計画になっていないだろうか? 自社の戦略ときちんと整合しているだろうか? OJTを言い訳に手を抜いていないだろうか? 会社の成長の方向性を見ていくにあたり、戦略実現のために誰のどんな能力をどこまで引き上げていけばいいのか、無理であれば採用戦略はどうするのか? より具体的なプランが今こそ必要だ。

属人経営から組織経営へ転換

先代社長からバトンタッチを受けた若手後継者。思ったように人心掌握が行かず、業績や風土、共に今ひとつ。T社もその中の1社。そもそも創業者やカリスマ性のある社長は、会社の全てを掌握しているものであり、後継者にそれを求めても無理。しかし一方、後継者の方が創業者よりも高学歴で物事を文章に表現する能力に優れているケースが多い。ならば強みを活かせばよい。我が社を将来どんな会社にしたいか(ビジョン)、そのためにはどんな手を打つべきか(戦略)、さらに誰がどのようにしていつまでにやるのか(計画)、そしてそれらを滞りなく進むためにどんなルールが必要か(マネジメント)。これらをオープンにし、全社員が英知結集して事に挑む、これが2世経営者のあり方ではないだろうか。万能な創業者による属人経営よりも、見える化された仕組みの中で、より多くの目で確かめながら着実に進む組織経営。このような経営スタイルが次代を拓くのかもしれない。弱みを強みに、逆境を順境に転換しよう。

軸のぶれない経営

会社を経営していく上で最も大事なことは何ですか?という質問に対して私は以下の骨格が大事だと答えています。経営の根幹をなすものは、一貫した経営ビジョン・戦略・管理の体系にあります。ビジョンとは、どんな会社になりたいかであり、経営理念(使命感や経営姿勢、行動規範)や事業領域(どの分野で生き残っていくか)、長期経営目標です。また、戦略とはそのためにいかなる手を打つかであり、基本戦略・方針と事業戦略(どの事業で)、機能別戦略(開発・生産・営業・人事・財務の機能強化)です。管理はまさしくあらゆる業務のPDCA(計画・実施・検証・改善)。これらが有機的に整合性がとれてはじめて軸がぶれない経営、不況に強い経営と言えるでしょう。具体策は各社で別れますが、この企業経営の骨格は同様に考えておいてよいのではないでしょうか。