令和戦国時代の幕開けか

新型コロナウィルスにより世界の景況感は一変、この数か月で一気に冷え込んだ。大手航空会社や百貨店などの倒産が相次ぎ、加えて数多くの予備軍もいる。新興国の債務リスクも深刻である。直近3~5年の中期展望は、極めて暗いと言わざるを得ない。経営トップは今こそ、これから生き残るのは2~3割と敢えて悲観的にとらえ、危機感を最大限に高める一方で、全社員の気持ちを結集し、この危機を共に乗り越えていくムードづくりをしなければならない。このかつてない厳しい時代に、社員や株主、取引業者、顧客層に対してどのような夢や感動を与えることができるのか、大いに検討しなければならない。そして自社の商品や事業の顧客価値を見つめなおし、会社の将来像(ビジョン)、そこに向けた道筋であるロードマップを示す。企業再生の一歩はここから始まる。

ビジョンなくして経営なし

経営ビジョンとは、企業が求める将来像を描き、明示したものである。それは、経営者の頭の中にとどめず、明文化され、全社員に理解されるものでなければならない。ビジョンは企業経営におけるガイドラインであり、全社員が具体的な将来像を共有化することにより、はじめて一丸体制が可能となり、社内も活性化する。特に最近、社員から「我が社の将来が不安」「我が社にはビジョン、夢がない」などの声を聞くことが多くなってきた。つまり、会社にビジョンがない状態は、企業がどこに向かっていっているのか分からないということを意味しており、あてもなく漂っている難破船状態を指している。ビジョンという行き先を定める。全社員でめざすべき将来像に向かってベクトル合わせをすることで一体感が高まり、社長の求心力も高まる。

理想と現実

理想とは果たして非現実か?私は、これまで常にあるべき姿を描き、そこに現実を近づけていくことが課題解決と信じてきた。ところが最近、若年層に、あるべき姿は単なる理想論であり、それよりも目先の事実をどう考えて行動していくかが重要という現実論が台頭してきているように思える。確かに物事をより現実的に捉えようとすることは大事だ。しかしながらこれでは、出来ないことは理想論であり、出来ることだけやっていればいいという現実逃避になりがちだ。恐らく経済界や政界をはじめ世の中が理想やあるべき姿を提示出来ていないことも理由のひとつと思われる。先行きの見えない時代、だからこそあるべき姿としての理想を掲げ、そこに向けて果敢に挑戦していくことに価値があるのではないだろうか。

属人経営から組織経営へ転換

先代社長からバトンタッチを受けた若手後継者。思ったように人心掌握が行かず、業績や風土、共に今ひとつ。T社もその中の1社。そもそも創業者やカリスマ性のある社長は、会社の全てを掌握しているものであり、後継者にそれを求めても無理。しかし一方、後継者の方が創業者よりも高学歴で物事を文章に表現する能力に優れているケースが多い。ならば強みを活かせばよい。我が社を将来どんな会社にしたいか(ビジョン)、そのためにはどんな手を打つべきか(戦略)、さらに誰がどのようにしていつまでにやるのか(計画)、そしてそれらを滞りなく進むためにどんなルールが必要か(マネジメント)。これらをオープンにし、全社員が英知結集して事に挑む、これが2世経営者のあり方ではないだろうか。万能な創業者による属人経営よりも、見える化された仕組みの中で、より多くの目で確かめながら着実に進む組織経営。このような経営スタイルが次代を拓くのかもしれない。弱みを強みに、逆境を順境に転換しよう。