今やらずしていつやるのか

令和戦国時代の幕開け、今回の不況はただごとではない。これまでの多くは景気の循環サイクルや一地域の出来事であった。今回は世界同時不況であり、さらにウィルスだけに先が見えない。元に戻る保障もない。ダメな企業は景気が回復しても倒産するしかない。確実に時代の節目に近づいている。これから世の中はかつてなく大きく変わることだろう。私たちは変われるのだろうか。

ある人は言う。「幸いにも資源のない日本人の強みは真面目に努力する国民性である。わが国民は皆、我慢する心をもっている。不況に強い。じっと耐えることにも慣れている。」と。

しかしながら耐え忍ぶだけでは巣ごもりであり、循環型ではないこの不況は切り抜けない。もう世の中は元には戻らないのである。さあ、つぶれてからは遅い。あの時もっと頑張れたのでは、、、後悔してからでは遅い。今やらずしていつやるのか、力は出すべき時に出してこそ意義がある。ファイト、ファイト。もっと自分を追い込もうではないか。

人生の底は嫌いでもない、さあ動こうではないか

新型コロナにより、100年に一度の大不況へと巻き込まれた世の中は、一体これからどのようにして立ち直っていくのであろうか、それは並大抵のことではない。確かに株式市場は、既にコロナ以前の水準を取り戻しつつあるが、先取りするにしてもいささか早すぎるように思える。今期の第1四半期、上期業績が明らかになってくる頃には大きな揺り戻しを覚悟しておかねばならないだろう。今、多くの企業や商店、店舗等がかつてない厳しい状況を迎えている。まさに皆、人生の底を経験している。このかつてない深い底からどのようにして人々は這いあがっていけばよいのだろうか。

まずは今一度、無になって考えてみてはどうだろう。これまでの商品、事業、商習慣、仕事の仕方を全てゼロベースで見直すのだ。時代が大きくそして急速に変わっている。仕事はテレワーク、プライベートもオンラインコミュニティーが中心だ。移動がなくなるとまでは言わないが、これまでのような頻度はなくなるであろう。人々は移動しなくても物事が成り立つことを経験してしまった。これからは大きく価値観が変わるだろう。新型コロナのビフォーとアフターでは、まるっきり違った風景になるのだ。ところで私は、人生の底は嫌いでもない。底故に、後は上がるのみだからである。さあ先見着眼、塞いでいても仕方ない、今こそ動こうではないか。

トータルコストダウンは源流から

グローバル競争時代、コスト競争力が鍵を握る時代である。ここでいうコストは売上原価だけでなく販売費・一般管理費も含めた総原価を指す。この総原価、つまりトータルコストの引き下げを推進する上で外してならないことは源流(工程)をおさえることである。 

(1)例えば、建設業や製造業等では、それは設計部門かも知れない。設計部門がどの程度、コストを考えて設計しているかである。実際、残業続きで納期に追われていることが多い。まずは、設計部門の生産性向上により、コストを最重要視して設計するくらいの余裕を持たせる必要がある。設計は、製品の機能等の品質、そして納期をクリアーして50点、試作段階での原価を引き下げて100点である。 

(2)ある建設会社でも設計がネックだった。納期に追われながら毎日残業、万年工数不足。ここでも原価よりも納期が優先されていた。そこで設計部門の生産性向上に取り組むことになった。基本的に、①営業とのコミュニケーション不足(顧客要求事項のツメの徹底)、②設計能力不足(スキルの棚卸を行い、不足点を重点的に指導。若手は標準品、類似品など役割分担の見直し、上司は担当から外し部下の業務を頻繁にチェックし適時修正)、③生産性が低い(価格表や過去の設計図書の整備などの設計ツールの充実化) 

(3)ある食品メーカーでは営業部門が源流だった。多品種少量生産は世の中の流れとも言えるのだが、そうなっているのは営業マンの交渉力の無さが原因ということも少なくない。実際、百貨店の言うままに製造することでアイテムが増加し、工程が混乱していた。そこでアイテムカットで絞込みがまず必要ではないかということになった。後工程の生産性の鍵を握るのは、営業マンによる顧客要求事項の見極め、交渉力なのである。特注価格を明確に示し、安易に汎用品価格で応じない。このようにトータルコストダウンは、通常のコストダウンと違い、コストダウンという目的に対し、手段の対象が生産部門だけに留まらない。営業(提案)力の強化ということもある。トータルコストダウンの対象は経営全てなのである。

迷うのであれば本業、本職で

迷うのであれば、本業本職を貫けと言いたい。今回の事例は、A社などと数社に限定できないほど多い。このコロナウィルス大不況期の中、業績が長期に亘って停滞してくると新たな事業への模索が始まる。このこと自体は全く問題はない。新事業開発、むしろ前向きに検討すべき課題である。しかしながら、この新事業開発、圧倒的に失敗事例の方が多いのも事実である。例えば、安易に儲け話に乗ってしまったケース。本業とのシナジー(相乗効果)が全く無し。無理もないことだが、この時期は、とかく儲かるらしいという美味しい話に乗せられてしまいがちである。だからこそよく考えて欲しい。大事なのは、その事業がわが社の経営理念に合っているかどうか、中期基本方針に基づく事業展開とのシナジーが期待できるかどうかである。ただ単に儲かるとか自分の子息に事業を分けて受け継がせたいなどという安易な買い物や間違った事業承継をしていては、後々、帰って本業の足を引っ張ることになる。それよりも本業の活性化の余地は本当にないのか、十二分にやり尽くしたのか、まずはその振り返りをした上で本業回帰を試みるべきである。本業に立ち戻り、少しでもやり残しがあればまずはそれを徹底してやってみることだ。成就性なくしては何をやっても駄目である。少なくとも迷っている間は決断は避けるべき、本業・本職を極めるべきと私は思う。

事業承継は不易流行の精神で

世の中では今、多くの企業で世代交代が行われている。この事業承継は、これを機に、さらに成長するか衰退するか、企業経営の歴史の大きな分岐点と言えよう。そこで進言したいのが、後継者には、これまでの良き風土、仕組みを継続しつつ、徐々に改革を図って欲しいということだ。これまでの伝統や先代社長の考え方をしっかりと受け継ぎ、徐々に自分自身の考えや手法を導入していくことだ。血(体質)を一気に入れ替えては死に体となる恐れがある。松尾芭蕉の俳諧の哲学、不易流行とは、「不易」は永遠に変わらない伝統. や芸術の精神,「流行」は新しさを求めて時代に合わせて変えていく、改善、改革を指す。そのためにも、事業承継におけるバトンタッチの両者が少なくとも一定期間(3~5年)、並走することが極めて重要と言える。